法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて

2026.04.03

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 令和8年3月18日、厚生労働省保険局と厚生労働省年金局は、法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて、全国健康保険協会理事長、健康保険組合理事長及び日本年金機構理事長へ通知を発出しました。

〈法人の役員の被保険者資格の取扱い〉
 同局は通知の中で、法人の役員の被保険者資格の判断基準について、

①その業務が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であるか
②その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けるものであるか

を基準として実態を踏まえ総合的に判断することと述べています。
 加えて、同局は、最終的には個別具体的な実態を勘案して適用の有無を判断することとしつつ、基本的に、以下のいずれかに該当する場合は、健康保険等の適用はないと判断すると基準を提示しております。

〈法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱い〉
 同局は法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについては、法人の役員の被保険者資格の取扱いの基準に加えて、実態を総合的に判断するよう提示しています。
 加えて、個別具体的な実態を勘案してその適用の有無を判断することを明確にした上で、
①役員としての報酬が業務の対価としての経常的な支払いとは認められない場合
②当該業務が法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供に当たるものとは認められない
 場合
の具体例を提示しています。

①役員としての報酬が業務の対価としての経常的な支払いとは認められない場合
・個人事業主等が法人に対して、役員としての報酬を上回る額の会費等を支払っている場合
・会費等の支払いが当該法人の役員となる上での実質的な条件となっており、当該法人とその関連法人
 の間で単に資金を移動させているにすぎないことが想定されるなど、実質的にこれらを 同一の法人
 として取り扱うべきと認められる場合

②当該業務が法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供に当たるものとは認められない
 場合
・知識向上のためのアンケートへの回答や勉強会への参加等、その業務の実態が単なる自己研さんに過
 ぎないもの
・単なる活動報告や情報共有等、役員としての具体的な指揮監督や権限の行使に当たらず、それ自体が
 直接的に法人の経営に参画しているとは認められないもの
・当該法人の事業の紹介等についての単なる協力やお願いにとどまっており、労務を提供する義務を負
 っているとは認められないもの

 さらに、同局は、役員としての業務が法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供に当たるか否かを判断する基準について、以下の事実を踏まえ総合的に判断するよう通知しています。

・指揮命令権を有する職員の有無
(具体的な業務について指揮監督する従業員や他の役員がいるか)
・決裁権を有する所管業務の有無
(担当する業務について決裁権があるか)
・役員間の取りまとめや、代表者への報告業務の有無
(役員会等に出席し、役員への連絡調整などを行っているか)
・定期的な会議への出席頻度、それ以外の業務の有無と出勤頻度
(会議に参加する以外の業務は他にあるか、その業務のためにどのくらい出勤しているか等)

 同局は、今回の通知を発するに当たり、本来国民健康保険及び国民年金の適用を受けるべき者であるにもかかわらず通常よりも低い保険料で健康保険等の適用を受けている可能性がある被保険者の存在を指摘しております。特に、被保険者の資格の種類に関しては、実態で判断されるケースがほとんどです。実態に即した適正な社会保険の加入を心掛けましょう。

〈引用〉
法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/12512000/001675920.pdf

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