月1時間残業で送検 適正に代表者選出せず 大阪南労働基準監督署
2026.03.06
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大阪南労働基準監督署(塩尻公署長)は、有効な36協定がないまま、労働者に1カ月当たり最大1時間の時間外労働をさせたとして、訪問介護事業を営む企業(大阪府大阪市)と同社部長、事業場の統括責任者を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで大阪地検に書類送検しました。
加えて、同署は時間外労働に対する割増賃金を一切支払わなかったとして、同法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)違反の疑いでも送検しています。
〈36協定が無効となった理由〉
「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」締結の際は、その都度、当該事業場に
①労働者の過半数数で組織する労働組合(過半数組合)がある場合はその労働組合と、
②過半数組合がない場合は労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)と、
書面による協定をしなければなりません。
つまりは、①の過半数組合の要件を満たさない場合、または②の過半数代表者の選出が適正に行われていない場合、36協定を締結して労働基準監督署に届け出ても無効になるということであり、正しい手続きは以下の通りです。

大阪南労働基準監督署は、同社が過半数代表者を一方的に指名していたことから、投票・挙手等の民主的手続きを経て選出されていないとして、協定を無効と判断しました。
また、本件では割増賃金の不払いでも併せて送検になっていますが、時間外労働に対する割増賃金の支払い義務については、本件のように時間外労働が月間で数分~数十分程度であったとしても、1分単位で発生しますのでご注意ください。
36協定を始めとする労使協定は、労働者と使用者の双方同意の上で、本来は課すことができない時間外労働を協定の範囲内で課すことができるものです。そのため、協定を結び、届け出を行っていたとしても、従業員との同意の手続きが適正に行われていなければ無効となるリスクを抱えることとなります。近年、厚生労働省は、各労働基準監督署に「悪質な法違反事案については適切に司法着手すること」として、送検等の司法処理を進めることを指示しています。ひとつひとつの手続を行うことで、こういったリスクを減らすよう努めましょう。
〈引用〉
月1時間残業で送検 適正に代表者選出せず 大阪南労基署(労働新聞社)
36協定の適正な手続きについて(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
労使協定とは(奈良労働局)
