労働者数50未満の事業場でストレスチェック実施の義務化が決定
2025.05.23
法改正情報
2025年5月8日改正安全衛生法が、衆院本会議で可決・成立し、令和7年5月14日に公布されました。(「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要|厚生労働省」https://www.mhlw.go.jp/content/001449334.pdf)
様々な改正がありますが、今回の目玉は、労働者数が50人未満の事業場においてもストレスチェックが義務化されることだと思われます。ストレスチェックの義務拡大に関しては、50人未満の事業場の負担等を配慮し、準備期間を確保するため、「公布後3年以内に政令で定める日」とされています。
ストレスチェックとはストレスに関する質問票(下記図1 選択回答) に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査です。
図1
労働者が 50 人以上いる事業場では、すでに2015 年 12 月から、毎年1回、この検査を全ての労働者に対して実施することが義務付けられています。
目的は労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」など のメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。
実際の準備から事後措置までは以下(図2)のフローで進めていきます。
図2
「導入前の準備」から「就業上の措置実施」まで段階が多く、時間や人員配置、プライバシーの保護など様々な課題が発生する場合もあります。さらに、ストレスチェックと面接指導の実施状況は毎年労働基準監督署に所定の様式で報告が必要です。
しかし、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことのメリットは大きく、ストレスチェックを実施した結果、①労働者におけるストレス対処実施意欲の増進 ②労働者のメンタルヘルスの意識向上 ③事業場のメンタルヘルス対策の促進という効果を得られたという調査結果もあります。(「ストレスチェックの効果に関する調査研究結果等」https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001249059.pdf)
労働者数50人未満の事業場においては、施行日までに実施できるような体制を整えるためにも、厚生労働省から公開されている「ストレスチェック制度 導入マニュアル|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf)」や「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム(https://stresscheck.mhlw.go.jp/index.html)」を参考にしたり、外部機関や専門家にストレスチェック制度の構築を依頼することも検討してはいかがでしょうか。