通勤手当の非課税限度額が引き上げられました
2025.12.26
法改正情報
国税庁は、通勤手当の非課税限度額の引上げを内容とする所得税法施行令の改正政令を公布・施行しました。今回の改正は、自動車や自転車などを利用して通勤する従業員に支給される通勤手当が対象となります。
【改正の概要】
・公布日:2025年11月19日
・施行日:2025年11月20日
・適用対象:自動車・自転車など交通用具を使用して通勤する従業員
・適用時期:2025年4月1日以後に「支払われるべき」通勤手当
(※電車・バスなど公共交通機関を利用する通勤手当の非課税限度額に変更はありません)
【非課税限度額の引上げ内容】
通勤距離に応じて非課税限度額が見直され、引上げ幅は0%~最大22.5%となっています。距離が長い区分ほど引上げ率が高く設定されています。
なお、通勤距離が片道2km未満と2km以上10km未満の区分については、金額・取扱いともに変更はありません。

【適用関係の注意点】
改正後の非課税限度額が適用されるかどうかは、通勤手当の「支給日」で判断します。
・2025年3月に2025年4月分の通勤手当を支給 → 改正前の限度額
・2025年4月に2025年3月分の通勤手当を支給 → 改正後の限度額
また、賃金規程などを改定し、通勤手当を遡って増額した場合でも、 支給日が2025年4月1日以後であれば改正後の限度額を適用します。
【年末調整時の実務対応】
・改正は2025年4月1日に遡って行われるため、 改正前の非課税限度額を超える通勤手当を支給し、すでに源泉徴収を行っている場合には、 年末調整での精算が必要となります。
・源泉徴収簿の欄外余白に「非課税となる通勤手当」と表示し新たに非課税となった金額その計算根拠を記載します。
・「給料・手当等①」欄の「総支給金額」には、 新たに非課税となった部分を差し引いた後の金額を記入します。(※給与ソフトの仕様などにより余白への記載が難しい場合は、記載を省略しても差し支えないとされています。)
【年の途中で退職した従業員の取扱い】
年の中途で退職した従業員については、確定申告により精算が必要になります。すでに源泉徴収票を交付している退職者について、 新たに非課税となる通勤手当がある場合は、支払金額を訂正し「再交付」と表示した源泉徴収票を作成・交付する必要があります。
今回の改正は、特に自動車・自転車通勤者が多い事業所にとって影響が大きく、 年末調整や源泉徴収票の取扱いに注意が必要です。
