介護(補償)等給付の最高限度額と最低保障額が見直されました

2025.07.11

法改正情報

厚生労働省は、2025年5月29日に開催された「第116回 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料を公表しました。

この部会では「労働者災害補償保険法施行規則」及び「炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、労働政策審議会に対し諮問が行われました。その結果、第116回労災保険部会での審議のうえ、改正案は妥当であるとの答申が行われています。
今回の改正省令案には、労災保険の介護(補償)等給付の最高限度額の改定についての内容が含まれており、令和7年8月から以下の額に改定される予定です。
なお、最低保障額は、すでに今年4月から改定されています。

【令和7年度】労働者災害補償保険法に基づく介護(補償)等給付の限度額(月額)

※カッコ内は改定前の額

なお、最高限度額については特別養護老人ホームで働く介護職員の平均基本給を参考に、
最低保障額は全国の最低賃金の加重平均を基準に決められました。

介護(補償)等給付は、労災保険の給付の一つで業務災害、複数業務要因災害、通勤災害により傷病(補償)等年金または障害(補償)等年金の受給権者が常時または随時介護を受けている場合に、本人の請求に基づいて支給されるものです。
なお、病院や診療所へ入院している間、もしくは特別養護老人ホームなどの施設に入所している間は支給されません。

「労災保険」ときくと業務中や通勤中のケガにより病院を受診したときや、休業したときの補償がイメージしやすいですが、今回紹介した介護(補償)等給付のほかにも、
療養開始後、一定期間を経過しても傷病が治らないときの傷病(補償)等年金や、
障害が残った際の障害(補償)等年金といった年金制度や、その他には一時金もあります。
従業員を雇用する上で、従業員のケガや病気などに対して保険給付を行う労災保険は非常に重要な制度です。
万が一の事故などに備えて、労災保険の仕組みを理解し、いざという場面で活用できるように制度を確認しておくことが大切です。





第116回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58301.html

第115回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53272.html

労災保険制度の概要、給付の請求手続等 |厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/gaiyou.html