精神疾患の労災認定 請求・支給決定ともに最多を更新
2024.08.16
法改正情報
仕事によるストレスを原因とする精神障害の労災請求・支給決定件数がともに過去最多となりました。
2023年度における精神障害の労災請求件数は3,575件で約3割、
支給決定件数は883件で約2割、前年度に比べてそれぞれ増加しました。
令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省
これに関連して、より適切な認定、審査の迅速化、請求の容易化を図るため、
2023年9月より精神障害の労災認定基準が改正されております。
心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました|厚生労働省
1.業務による心理的負荷評価表の見直し
・カスタマーハラスメント、感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に
従事したことを具体的な出来事として追加
・心理的負荷の強度が「強」、「中」、「弱」となる具体例を拡充
(パワーハラスメントの6類型すべての具体例を明記)
などの見直しが行われました。
2.精神障害悪化についての労災認定範囲の見直し
悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がなくとも、
業務による強い心理的負荷により悪化した部分については労災認定がされるようになりました。
3.医学意見の収集方法を効率化
自殺事案、心理的負荷が「強」かどうか不明な事案など、
専門医3名の合議により決定していた事案について、
特に困難なものを除き1名の意見で決定できるようになりました。
精神障害による労災認定が連日ニュースでも報道され世間に広まった今、
長時間労働の抑制やハラスメント対策など企業として予防策を講じることが大切です。
なお、セクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、
パワーハラスメントに対しては防止措置を講ずることが中小企業にも義務化されていますので、
この機会に確認しておきましょう。
職場におけるハラスメント対策についてはこちら
出典:厚生労働省ホームページ