2024年の労働災害発生状況~死亡者数は過去最少も、休業4日以上の死傷者数は4年連続増加~

2025.06.13

最新の労務関連情報

厚生労働省より、2024年1月~12月における労働災害発生状況が公表されました。
2024年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症への罹患によるものを除いた
労働災害による死亡者数は746人(前年比9人減)と過去最少となりましたが、
休業4日以上の死傷者数は135,718人(前年比347人増)と4年連続で増加しました。
また、新型コロナウイルス感染症への罹患による労働災害による死亡者数は1人(前年比3人減)、
休業4日以上の死傷者数は15,196人(前年比18,441人減)となりました。



労働災害減少のために重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第14次労働災害防止計画」では、2027年までに2022年比で、
①建設業及び林業においてそれぞれ死亡災害を15%以上減少
②製造業における機械によるはさまれ・巻き込まれの死傷者数を5%以上減少
③陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上減少 などを目標にしています。

2025年度の重点施策としては、
・労働者の作業行動に起因する災害対策
・高齢労働者、多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策
・化学物質による健康障害防止対策 などが挙げられています。

以上の内容も踏まえて、全国安全週間(7月1日~7日)とその準備月間(6月1日~30日)では、
厚生労働省、都道府県労働局から事業場や関係団体等に対して積極的な労働災害防止活動の実施を働きかけていく予定です。
毎年この期間に行われる全国安全週間は、労働災害を防止するための自主的な活動の推進と、
職場での安全に対する意識向上、安全を維持する活動の定着を目的としています。
各職場における巡視やスローガンの掲示、労働安全に関する講習会の開催など、さまざまな取組が実施されます。

死亡災害は今年も現状見込みであるものの、休業4日以上の死傷災害は増加傾向にあり、
転倒、墜落・転落、動作の反動・無理な動作といった労働者の行動に起因する災害が多くなっています。
雇用者全体に占める高齢者の割合が増加傾向にあることも、休業4日以上の死傷者数が4年連続増加している一因といえるでしょう。
厚生労働省のデータでは、2024年における雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の割合が19.1%と2割近くあり、また、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の高齢者の割合は30.0%となっています。



こうした労働災害を減らすためには、日々の安全教育や職場環境の改善など様々な取り組みが重要です。
厚生労働省では、安全衛生優良企業の取組事例を業種別で公表しています。
(安全衛生優良企業の取組事例 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075574.html )
こういった事例も参考にしながら、労働災害の未然防止と従業員の健康保持に取り組んでいきましょう。


【引用】
令和6年の労働災害発生状況を公表|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58198.html
令和6年労働災害発生状況について(https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001496729.pdf