8年度監督指導方針 申告は原則すべて受理を 請求行為前提にせず 厚労省

2026.05.29

最新の労務関連情報

厚生労働省は令和8年度、労働者などからの申告を原則全件受理していく方針で臨むことが、労働新聞社の情報公開請求により分かりました。

・労働者の申告制度とは

労働基準法第104条「事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる」を根拠とした申告制度の事です。

・申告があった後はどのような動きになるのか

この申告を受けて、労働基準監督署官等は、労働基準法を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命じたり、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検したり、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行ったりします。

 

〈令和8年度監督指導方針のポイント〉

1.労働基準関係法令に違反しないことが明白な場合を除いて、すべて受け付けること

2.労働者による使用者への未払い賃金請求などの「請求行為」を受理の前提条件としないこと

3.令和8年4月1日より施行された改正労働安全衛生法の可能となった個人事業主などからの申告は、要件を満たす場合は受理すること

4.司法警察権限の行使については令和7年度に引き続き、過去に重大・悪質な法違反が認められたにもかかわらず、遵法状況の定着が確認されない事業場は「必ず司法処理に着手する」としたこと

順番に解説します。

1.労働基準関係法令に違反しないことが明白な場合を除いて、すべて受け付けること、2. 労働者による使用者への未払い賃金請求などの「請求行為」を受理の前提条件としないこと

→申告制度は自身にかかる違法な事実についての権利救済を目的にするか否かを問題にしていないとして、「受理の前提として、労働者に対して使用者への請求行為を求めることは、厳に慎むこと」と方針が変わったことに加え、労働基準関係法令に違反しないことが明白な場合を除いて、すべて受け付けることと方針が変わりました。つまり、申告が受理されるハードルがかなり下がったと言えます。

3.令和8年4月1日より施行された改正労働安全衛生法の可能となった個人事業主などからの申告は、要件を満たす場合は受理すること

→令和8年4月1日より施行された改正労働安全衛生法の一つに、建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえ、労働者だけでなく、同じ場所で働く労働者でない者も保護する趣旨の改正がありました。

 

令和8年3月31日以前

令和8年4月1日以降

令和8年度監督指導方針では、改正労働安全衛生法の改正に則った対応をするよう規定されていると言えます。

4.司法警察権限の行使については令和7年度に引き続き、過去に重大・悪質な法違反が認められたにもかかわらず、遵法状況の定着が確認されない事業場は「必ず司法処理に着手する」としたこと

→労働基準監督官は労働基準法第102条を根拠に、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行います。「必ず」という文言から、遵法状況の定着についても厳しく対応していく方針であると言えるでしょう。

 

労務環境の適正化は、今後ますます求められていく傾向にあります。また、労務環境の適正化は一朝一夕で達成することは難しく、日々の積み重ねが非常に重要となります。日ごろから、適正な労務管理を心掛けましょう。万が一、労働基準監督官等から書類の提出や出頭等を求められた場合、拒んだり虚偽の報告を行うと30万円以下の罰金に処されます。誠実に対応するようにしましょう。

【引用】

労働基準法 | e-Gov 法令検索

https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_11-At_100

8年度監督指導方針 申告は原則すべて受理を 請求行為前提にせず 厚労省(労働新聞社)

https://www.rodo.co.jp/news/218756/

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001497667.pdf