2025年4月に施行される介護休業法に関する改正内容

2025.02.28

法改正情報

以前、弊所ホームページで「2025年4月と10月に施行される育児・介護休業法の改正スケジュールと求められる対応について」を投稿し、育児休業に関する改正内容を紹介しました。
引き続き、今回は介護休業法(赤線枠内)に関する改正内容をピックアップして紹介します。


これまでは労使協定を締結することにより、継続雇用期間が6か月未満の労働者を介護休暇取得対象者から除外することができましたが、今回の改正でこの要件が撤廃され、継続雇用期間が6か月未満の労働者であっても介護休暇を取得することができるようになります。必要に応じ、労使協定の変更と就業規則の見直しが必要です。


介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、事業主には①研修の実施、②相談窓口設置、③事例の収集・提供、④利用促進に関する方針の周知のいずれかの措置を講じることが求められます。従業員の中には介護休業・介護両立支援制度等について知らない場合も多いので、措置を実施する事業主または人事労務担当者は申出者への配慮や理解促進のためのわかりやすい説明が求められます。


この改正により、(1)は労働者の年齢に関わらず、介護に直面した旨の申出をした労働者に対して個別の周知や意向確認を行うこと、(2)は労働者が介護に直面する前の早い段階(40歳等)で情報提供を行うことが求められます。つまり、(1)は労働者側から申出があって初めて個別の周知と意向確認が必要な一方で、(2)は40歳等の労働者に対し企業側から情報提供の働きかけをしなければなりません。例えば、40歳到達により介護保険料を賃金から控除を開始するタイミングと合わせて個別に面談や書面交付により介護休業制度等の情報提供をするなどの対応方法が考えられます。


この改正は義務ではありませんが、要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるような措置を講ずることが努力義務となります。
措置を取り入れる場合は就業規則等の見直しが必要となります。

働き盛りに多いと言われる介護者が介護により退職を余儀なくされる事態を防ぐためにも、改正内容を踏まえ、企業の方針に沿う方法で従業員が介護休業や介護両立支援制度等を利用しやすい環境整備を進めてみてはいかがでしょうか。

【引用】
育児・介護休業 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行 | 厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf)