直前解約で集団訴訟 タイミー相手取り賃金請求
2026.05.22
最新の労務関連情報
スポットワークサービス「タイミー」を利用していたスポットワーカー9人が、直前キャンセルによって働けなくなったにもかかわらず賃金が支払われなかったとして、運営会社を相手に集団訴訟を提起したことが報じられました。今回の訴訟は、スポットワークにおける直前キャンセルの責任を仲介事業者に問う全国初のケースとみられています。
【概要】
報道によると、原告となった9人は、2021年10月~2026年3月にかけて、タイミーを通じて飲食店や運送会社などとマッチングしていました。しかし、企業側の都合により合計135回のキャンセルが発生。本来得られるはずだった賃金や交通費は、合計約102万円に上るとされています。さらに、慰謝料計210万円を含め、総額約312万円の支払いを求めています。
また、スポットワーク仲介事業者であるタイミーが、未払い賃金についてどこまで責任を負うのかという点も争点となっています。タイミーでは、ユーザー企業との間で「賃金債務の併存的引受け契約」を結んでおり、ワーカーへの賃金を立替払いする仕組みを採っています。原告側は、この仕組みがある以上、タイミー自身にも賃金支払い義務があると主張しています。
【厚生労働省の「留意事項」】
スポットワークを巡っては、厚生労働省が令和7年7月に「留意事項」を公表しています。これを受け大手スポットワーク事業者では同年9月以降運用を変更し、マッチングの段階で「解約権留保付労働契約」が成立しているとしました。留保解約権の行使は、就労開始24時間前までは大幅な仕事量の変化など、24時間前を経過した後も天災事変などを理由に可能としています。ただし、今回の訴訟では、運用変更の前後を問わず企業側によるキャンセルは「有期労働契約の途中解約」に当たると主張されています。
厚生労働省の「留意事項」については当事務所の記事で過去にご紹介しておりますので、詳しくはこちらをご参照ください。
〈スポットワーク利用時の労務管理上の注意点が公表されました〉
【労働契約法第17条との関係】
有期労働契約は、契約期間中に自由に解約できるわけではありません。労働契約法第17条では、期間途中の解約には「やむを得ない事由」が必要とされています。今回の訴訟では、本当に「やむを得ない事由」があったのか、その説明責任を誰が負うのかが重要なポイントになりそうです。
【企業側の注意点】
スポットワークは便利な一方で、気軽にキャンセルできるという感覚で運用してしまうと、後々トラブルにつながる可能性があります。
・人数調整目的の安易なキャンセル
・十分な理由説明のない直前キャンセル
・キャンセル基準が曖昧な運用
などは、今後さらに問題視される可能性があります。スポットワーカーであっても、労働契約が成立している以上、通常の労働法上のルールが適用されるという視点が、今後ますます重要になりそうです。
【引用】
直前解約で集団訴訟 タイミー相手取り賃金請求(労働新聞社)
(https://www.rodo.co.jp/news/218327/)
いわゆる「スポットワーク」の留意事項等(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html)
【当記事に関するご質問やご相談はこちらへ】
