令和8年度 最低賃金改定 47都道府県の金額・発効日と企業が今すぐ確認すべきこと
2026.09.03
最新の労務関連情報
令和8年度の最低賃金は、9月3日の沖縄県の答申をもって47都道府県すべての改定額がそろいました。全国加重平均は1,177円で、昨年度から56円の引上げです。ただし企業が確認すべきは全国平均ではなく、自社の事業所が所在する都道府県の額と発効日の2点です。この記事では、47都道府県の答申額と発効予定日、発効日が月の途中になる場合の給与計算、点検すべき項目を扱います。
令和8年度の最低賃金額と発効予定日
以下は各都道府県の地方最低賃金審議会による答申額です。今後、関係労使からの異議申出に関する手続を経て、都道府県労働局長が決定し、公示されます。発効日は異議申出の状況等により変更となる場合があります。
| 都道府県 | 答申額 | 発効予定日 | 都道府県 | 答申額 | 発効予定日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,131円 | 10月1日 | 滋賀 | 1,136円 | 10月3日 |
| 青森 | 1,090円 | 10月29日 | 京都 | 1,180円 | 11月16日 |
| 岩手 | 1,090円 | 12月1日 | 大阪 | 1,231円 | 10月1日 |
| 宮城 | 1,098円 | 10月1日 | 兵庫 | 1,172円 | 10月1日 |
| 秋田 | 1,090円 | 10月14日 | 奈良 | 1,107円 | 10月4日 |
| 山形 | 1,092円 | 10月30日 | 和歌山 | 1,101円 | 10月3日 |
| 福島 | 1,094円 | 10月16日 | 鳥取 | 1,090円 | 10月3日 |
| 茨城 | 1,136円 | 10月18日 | 島根 | 1,092円 | 10月10日 |
| 栃木 | 1,125円 | 10月1日 | 岡山 | 1,104円 | 10月2日 |
| 群馬 | 1,120円 | 10月3日 | 広島 | 1,141円 | 10月11日 |
| 埼玉 | 1,196円 | 10月1日 | 山口 | 1,101円 | 10月8日 |
| 千葉 | 1,195円 | 10月1日 | 徳島 | 1,103円 | 11月1日 |
| 東京 | 1,280円 | 10月1日 | 香川 | 1,092円 | 10月1日 |
| 神奈川 | 1,279円 | 10月1日 | 愛媛 | 1,093円 | 11月1日 |
| 新潟 | 1,108円 | 10月1日 | 高知 | 1,086円 | 10月29日 |
| 富山 | 1,119円 | 10月1日 | 福岡 | 1,114円 | 10月4日 |
| 石川 | 1,113円 | 10月3日 | 佐賀 | 1,095円 | 11月15日 |
| 福井 | 1,112円 | 10月4日 | 長崎 | 1,087円 | 11月2日 |
| 山梨 | 1,113円 | 11月1日 | 熊本 | 1,092円 | 12月1日 |
| 長野 | 1,117円 | 10月2日 | 大分 | 1,096円 | 11月1日 |
| 岐阜 | 1,121円 | 10月1日 | 宮崎 | 1,085円 | 10月24日 |
| 静岡 | 1,154円 | 10月15日 | 鹿児島 | 1,090円 | 10月25日 |
| 愛知 | 1,195円 | 10月1日 | 沖縄 | 1,086円 | 12月2日 |
| 三重 | 1,143円 | 10月1日 |
出典:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(令和8年9月3日)および別紙「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」
引上げ額は54円から65円の範囲で、最も大きいのは佐賀県の65円、最も小さいのは東京都・神奈川県・大阪府の54円です。最高額に対する最低額の比率は84.8%となり、12年連続で改善しました。
発効日は10月1日だけではありません
発効予定日は10月1日から12月2日まで分散しています。10月1日発効は15都道府県で、全体の3分の1にとどまります。10月中の別の日が22県、11月が7県、12月が3県です。
自社の発効日を確認せず「10月1日から」と決め打ちで準備を進めると、発効前に賃上げを実施して人件費を前倒しで負担するか、逆に発効日を過ぎてから気づいて未払いが生じるかのどちらかになります。まず自社の事業所がある都道府県の発効日を確認してください。
発効日が月の途中に入ると、1つの給与計算期間で単価が分かれます
新しい最低賃金額は、発効日以後の労働に対して適用されます。発効日より前の労働については、改定前の額のままで差し支えありません。そのため、給与計算期間の途中に発効日が入る事業所では、1つの給与計算期間の中に2つの単価が混在します。
たとえば毎月20日締めの事業所が静岡県(10月15日発効)にある場合、9月21日から10月20日までの給与計算期間のうち、10月15日以降の労働時間だけが新しい額の対象になります。10月14日以前の労働時間は改定前の額で計算します。
ここで確認しておきたいのが、自社の給与計算ソフトが給与計算期間の途中で時間単価を切り替えられるかどうかです。切り替えられない場合、期間を分けて計算するか、差額を別途算出して加算する対応が必要になります。発効日を過ぎてから確認すると、締め日直前に手作業が発生します。
月給制の従業員についても、発効日を含む給与計算期間から、最低賃金の対象となる賃金を1か月平均所定労働時間で割った額が、新しい最低賃金額を下回っていないかを確認してください。
最低賃金の点検チェックリスト
- 事業所の所在地の答申額と発効日を確認する。適用される最低賃金は事業所の所在地で決まります。本社と勤務地の都道府県が異なる場合、その従業員には勤務地の額が適用されます。
- 複数の都道府県に事業所がある場合は、事業所ごとに確認する。額と発効日が事業所ごとに異なります。複数拠点で勤務する従業員が同一の給与体系に紐づいている場合、事業所単位で給与計算上の単価設定を見直す必要が生じます。
- 時給・日給・月給それぞれの換算方法で、最低賃金を下回っていないか確認する。日給制は日給を1日の所定労働時間で割り、月給制は月給を1か月平均所定労働時間で割って、最低賃金額(時間額)と比較します。計算例は厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」にあります。
- 就業規則と賃金規程の改定が必要か確認する。賃金規程に時間給の下限額を数字で書いている場合、規程の改定が必要になります。
- 地域別最低賃金より高い特定(産業別)最低賃金が定められている業種か確認する。該当する場合は、高いほうの額が適用されます。特定最低賃金は毎年改定されるとは限らないため、業種ごとに現在の額を確認してください。
最低賃金の比較から除外できる賃金は限られます
時給・日給・月給の換算で確認する際、支払われている賃金のすべてを比較の対象にするわけではありません。次の賃金は最低賃金の対象から除かれます。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
除外されるのはこの範囲に限られます。住宅手当や職務手当は除外されず、比較の対象に含めます。住宅手当は割増賃金の算定基礎から除外できる手当(労働基準法施行規則第21条)と混同しやすいため、注意してください。最低賃金の計算と割増賃金の計算では、除外する手当の範囲が異なります。
賃上げにあたっては、業務改善助成金を活用できる場合があります。令和8年度の申請期間は令和8年9月1日から、申請する事業場の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または令和8年11月30日のいずれか早い日までです。10月1日発効の都道府県では、9月30日が申請期限になります。対象要件や助成額は事業場の状況によって異なるため、自社が該当するかは個別に確認してください。
発効日までに確認と準備を終えられるかどうかで、対応の負担は大きく変わります。自社の発効日が10月であれば、残された時間は多くありません。
※本記事は令和8年9月3日時点の情報に基づいています。記載の金額は答申額であり、都道府県労働局長の決定と公示を経て確定します。発効日は異議申出の状況等により変更となる場合があります。
自社の発効日と、月中発効の給与計算をご相談ください
ご相談いただくと、事業所ごとに適用される答申額と発効日、発効日を含む給与計算期間で単価をどう分けるか、賃金規程の改定が必要かどうかを整理してお伝えします。
