注意指導経ない懲戒は無効 約半年離席を止めず 大阪地裁

2026.05.01

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大阪府門真市の職員2人が勤務時間中の組合活動を理由とする減給・戒告処分の取消しを求めた裁判で、大阪地方裁判所(中島崇裁判長)は注意指導を経ない処分であり無効とする判決を下しました。

〈減給・戒告処分の取消しを求めた裁判の経緯〉

2人の職員は昭和59年に同市に入職し、門真市職員労働組合の執行委員長と書記長を務めていました。同市は令和2年10月14日、1人を1カ月間の給与の10%の減給、1人を戒告処分とし、処分理由は、平成31年4月~令和元年10月の間、勤務時間中の従事が認められていない組合活動による職務懈怠とされていました。組合活動の時間は、減給処分の職員は1日平均76分、戒告処分の職員は月3~5回・1回につき10~20分程度でした。裁判は職員らが処分の取消しなどを求めたものです。

 

〈今回の処分無効の判決のポイント〉

勤務時間中の従事が認められた適法な組合活動でない可能性を把握していたにもかかわらず、同  市は5カ月以上離席を止めなかったこと

職員らの認識を是正する機会を与えず、非違行為を重ねるのを待って懲戒処分に及んでおり、信義則に反すると大阪地裁が判断したこと

以下に、ポイントの経緯を記載します。

①勤務時間中の従事が認められた適法な組合活動でない可能性を把握していたにもかかわらず、同市は5カ月以上離席を止めなかったこと

→今回のケースでは、同市と同労組は平成21年3月に、勤務時間中に従事可能な組合活動の明確化を目的としたガイドラインを策定しておりました。2人の職員は勤務時間中に組合活動をする際、ホワイトボードに「組合」と記載したマグネットを貼り、戻りの時刻を記入したり、上司の承諾を得ることがありましたが、上司はガイドラインを把握しておらず、2人の離席を止めませんでした。こちらの対応が、職員らが勤務時間中の活動が黙認されているとの認識に至った要因であると大阪地裁は判断しました。

②職員らの認識を是正する機会を与えず、非違行為を重ねるのを待って懲戒処分に及んでおり、信義則に反すると大阪地裁が判断したこと

→同市は平成31年4月、市民からの問合わせメールを発端に職員の離席時間の確認・記録を開始し、平成31年4月15日~令和元年10月31日の5カ月以上離席を止めずに記録を続けていました。

遅くとも元年5月10日以降、注意指導を行うべきだったにもかかわらず、そのまま放置すれば活動が継続すると知りながら、誤った認識を是正する機会を与えずに行った処分は、信義則に反すると大阪地裁は判断しました。

※信義則とは

「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」という民法の基本原則の事です。

言い換えると、「権利の行使及び義務の履行は相手との信頼関係を裏切らないように実行しなければならない」ということとなります。

 

懲戒処分については、労働者にとって影響が大きい処分となることもあり、トラブルの火種になりかねないため、慎重に進める必要があります。就業規則やガイドラインに沿って処分を行うことにより、客観性・合理性の伴った対応が求められるとともに、もしも従業員の方が誤った認識を持っているようであれば、その認識を是正する機会を処分前に与えることなど、誠実な対応を心掛けましょう。

 

【引用】

注意指導経ない懲戒は無効 約半年離席を止めず 大阪地裁(労働新聞社)

https://www.rodo.co.jp/news/217735/

e-Gov法令検索 民法

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

 

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